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中枢神経系薬開発におけるPET技術

PET technology in CNS drug development

中枢神経系疾患は、身体および精神の健康に深刻な影響を与えます。そしてこの複雑性、多要因、多様遺伝子制御などは、中枢神経系疾患の病理をより不明瞭にします。


中枢神経系薬の発展は大変重要な意味があります。血液-脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)は、「血管-脳」、「血管-脳脊髄液」、「脳脊髄液-脳」の3つのバリアを意味し、中枢神経系疾患では、このバリアが薬剤透過を阻害し治療を妨げます。そのため中枢神経系薬の開発では、血液-脳関門の薬物運搬システムを効率良く評価する技術が求められます。光学イメージング解析、薬物動態試験、薬力学試験等の方法が、薬物分布や薬物担体研究に用いられます。そこで今回は、PET(Positron emission tomography)について簡単に説明していきます。

新薬開発における重要な課題のいくつかは、分子イメージングによって解決することができます。例えば、薬物動態試験において、低分子化合物、ペプタイド、タンパク質、抗体、細胞等を陽電子でラベリングすることにより、これが“GPS”のような役割を果たし、PET/SPECT分子イメージング技術により、一目で生体内の薬剤分子の分布が観察できます。制癌剤の開発、中枢神経系作用性薬物の開発、心血管系疾患の新薬開発においては、分子イメージング技術はとても有用です。そして、新薬の研究開発の効率性を改善し、臨床試験の成功率を向上させるものでもあります。近年では、最も一般的に用いられる分子イメージング技術には、PETの他にも、“Single Photon Emission Computed Tomography, SPECT”、“Magnetic Resonance Image, MRI”等があります。


中枢神経系疾患は複雑で、これらの最近の知見はかなり限定されてしまっています。中枢神経系疾患モデルは、中枢神経系疾患の病態研究や薬剤スクリーニングにおいて、重要な役割を果たします。メディシロン社の薬力学部門は、専門的な中枢神経系疾患評価モデルを有しており、PET-CT技術と組み合わせることで、中枢神経系薬の効果、安全性や脳血管バリア透過能を評価することができます。


PETは1980年代の代謝的、生理学的および化学的イメージング技術であり、近年では、核医薬イメージング機器として発展をとげました。PETイメージングは非侵襲的で、中枢神経系疾患の診断で重要な役割を果たします。PET技術は、臨床現場における疾患の診断に活用されるのみならず、ラベリングした化合物の体内での変化を追跡することもできます。

例えば、脳のPETイメージングは血流、血液量、局所でのブドウ糖代謝やアミノ酸代謝、タンパク合成、血液-脳関門の結合性、レセプターの発現密度等の脳内におけるさまざまな生理的、生化学的プロセスを解析することができます。PET技術はまた、非侵襲的に体内の薬剤の動的分布も解析できるので、脳内への薬剤のナノレベルでの運搬効率を観察できます。また、PETは体腔の深い局所組織の分析も可能にします。


PETイメージング試薬は一般的には半減期の短い放射性核種なため、注文に応じて生産され、コストは比較的高くなってしまいます。しかし、PETは分子イメージング技術で重要な技術であり、PETイメージングは、中枢神経系疾患の診断においてさらに重要な役割を示していくと考えられ、そこで使われるイメージング試薬の開発もまた研究上の重要課題となっていくと考えられます。

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